国同士のお隣さんという概念

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榊です。

ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)のチェコ語B1を現在、語学学校で勉強しています。

内容はA2とさほど変わりはしないのですが、覚えるべき単語数の増加と細かな文法事項が増えて頭の中がグラーシュです。

 

国の名前を様々な文法に当てはめた際にどう言うか、そんな授業の時に話した世界の国境と、自分の国のお隣さんという概念の違いが面白かったのでまとめていこうと思います。

 

Guláš (グラーシュ)とは

 

チェコやハンガリー、オーストリアなどの中東欧を中心に食べられている伝統的なシチューっぽい肉料理です。
ハンガリー語ではグヤーシュと発音するのですが、チェコ語ではグラーシュと言います。ただ、「ヤ」の音の方が日本では浸透しているのでしょうか…?

牛肉とパプリカ粉をメインに様々な食材を一緒くたに長時間煮込むため、私の知り合いたちは頭がこんがらがったときによく「頭の中がグラーシュだわ」などと言います。

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名詞の形が変化するチェコ語

まず、チェコ語に関して全く何も知らない方のために「なぜ国名を授業でしっかりと扱って練習する必要があるのか」ということを説明します。

 

チェコ語は名詞が状況によって変化します。

日本語では「て、に、を、は」をつけていくだけで、名詞そのものの形は変わりませんが、チェコ語やその他いくつかの言語では「日本を」「日本で」「日本は」「日本に」などのてにをはのように名詞の語尾を変化させる特徴があります。

名詞の使い方によって「Japonsko(ヤポンスコ:日本)」という名詞が「v Japonsku(ヴ ヤポンスク:日本で)」「do Japonska(ド ヤポンスカ:日本へ)」 「mezi Japonskem a 〇〇(メズィ ヤポンスケム ア ○○:日本と○○の間)」と形が変わります。

めんどくさいですね。

(「日本」という単語を例に挙げたのはよくなかった気がします。詳しく知りたい方はチェコ語やロシア語を勉強してみるといいかもしれません。楽しいですよ。)

 

と、まぁこんな感じで、一つの名詞を知っていたとしても、それを正しく使えるようになるには訓練が必要です。

男性、女性、中性と3種類の名詞の性があり、さらにそれらが単数形と複数形でそれぞれ7種類の変化をします。名詞だけでこれなんだから嫌になっちゃいますね。

ここに前置詞がアホほど入ってくるため、国の名前を知っていても、その国に行くのか、国からくるのか、その国の中で何かするのか、その国について話すのか、国名の使い方は動詞と前置詞次第です。

慣れるまでなかなかスラスラ話すことができないんですよね。
そのための授業です。日本語や英語が簡単というのもちょっとわかる気がします。

 

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あなたの出身国の隣の国名を、7変化すべて書いてきてください

今回の宿題です。

みんなB1レベルになると、自分の国についてはほぼ間違えることなく7つの格変化をすべて使いこなすことができます。

ヤポンスコ、ヤポンスカ、ヤポンスク……、さすがに日本人の私にとって、この辺りはお茶の子さいさいです。

ただ、日本のヤポンスコ(Japonsko)と同じように~スコ(~sko)で終わる国名以外を、変化させ、辞書に載っている形(主格)以外にするとなると、普段あまり使わないためちょっと不安になります。

 

今日の授業では、チェコ共和国のお隣さんたちについて授業の最後で触れました。

チェコのお隣さんは全部で4か国。

ドイツ(Německo:ニェメツコ)、ポーランド(Polsko:ポルスコ)、スロバキア(Slovensko:スロベンスコ)、オーストリア(Rakousko:ラコウスコ)。

 

そこで先生が私たちに課した宿題は「出身国のお隣さんの国名を変化させてきてね」というもの。

しかし国によっては、かなりお隣さんが多くなるのも事実。
宿題がバカみたいに多くなってしまいます。

それを察したのか先生、「ロシアは多すぎるわね……。適当にいくつか選んできていいわよ。」とのこと。

 

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飛び地(海外領土)の多い国フランス

さて、ここで自国について語り始めたら止まらない、フランス人のお兄ちゃん。
今日は私の隣の席でした。

 

先生に向かい、人差し指を高々と掲げ、

「僕んとこもめっちゃ多いっす。」と。

先生は「確かにそうね……。ドイツ、スペイン、ベルギー、イタリア、スイス……。」と天井を見上げながら地図を思い出している様子。

 

授業後地図を確認したところ、フランス本土が国境を接している国は上記に加えて、ルクセンブルク、モナコ、アンドラなどのミニ国家もありました。

そら確かに多いですわ……。

 

しかし、彼の言いたかったのは本土が接している国だけにとどまらず、海外県、海外領土についてでした。

彼は私と私の隣にいるロシア人の子にGoogle Mapを見せながら「ここ!ここもフランス!ここもここもフランス!!!」と教えてくれました。

ほとんど海の上やないかい。笑

 

ですが、帰って調べてみたところ、思いのほか多くの海外領土をお持ちなんですね。
さすがおフランス。驚きました。

中でもニューカレドニアとか普通に独立してるもんだと思っていました。

 

大学のラテンアメリカ経済論ではこれのイギリス版を多く勉強しましたが、フランスもこんなにたくさん海外領土あるんですね。

遠くの元植民地が今も国の一部になっているって、本土の国民はどんな気持ちなんでしょうか。
同じ言語を話しますし「超遠くの沖縄」みたいな感じなんでしょうか。でも元々の民族自体は全く違いますもんね。
不思議です。

 

この話を聞いて、ロシア人の女の子は「ロシアもあるよ!!カリーニングラード!!」と言っていました。

私の今とっても旅行したい土地……。

飛び地のある国の人の気持ちが気になる日本人です。
そこの国民は「ちょっくら旅行に飛び地行こうぜ!」みたいな、旅行先の対象になるのでしょうか。

 

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その他の国出身のみなさん

インド、中国、ウクライナ、アメリカ、イラン、今回のクラスは出身国がほとんどかぶっていないので、こういう国ごとの話をしたときに面白くて楽しいです。

だいたい皆さん3か国以上国境を接しているお隣さんがいるようで、うらやましいです。

韓国出身のお姉さんだけ北朝鮮一国になってしまいますが…。

 

そして日本出身の私はと言うと、

「よっしゃー!お隣さんたち日本みたいに~skoで終わる国名ないぞ!いい勉強になるな!!」などと普通にやる気満々でした。

 

私が真っ先に思い浮かんだのが中国。

続いて韓国、台湾、ロシア

 

しかし、これらはすべて海をまたいでいます。

この理論で言ったらアメリカすらもお隣さんになるのではないか……?という一抹の不安。

 

ワンチャン、ロシアよりもお隣さんが多い事態になります。

 

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クラスの中で唯一島国の日本

今回のクラスは島国出身が私だけなんですよね。

以前のクラスには台湾出身の人とかいたんですけど…。

 

ワンチャン、アメリカやフィリピンまでお隣さんになってしまう可能性も考えて、一応先生に聞いてみました。

「あの~、日本が、島なんですけど……。」

私は中国や韓国、台湾やロシアの名前を書く気満々です。

一応聞いとかないとね、一応。

 

ところが、先生を含むクラスの皆さんの感覚では、海を越えた向こうは正確なお隣さんではないということみたいです。

質問した瞬間クラスのみんな大爆笑でした。
みんな口々に「そうじゃん!!」とか「お隣さんいないじゃん!!」とか「日本島だったなwww」とか言ってます。

 

感覚違いすぎてびっくりしました。え、上記の国はお隣さんじゃないんですか!!?!

てっきり海を越えた向こう側もお隣さんだと思っていた榊。

 

韓国人と中国人のお姉さんたちは今回の宿題で日本の名前を書くつもりなかったのか…?と感覚の違いに驚いています。

チェコ人やその他地続きの国の皆様的には日本はお隣さんがいない、ということになるのかもしれませんが、韓国人のお姉さん的にはどうなんでしょうか。

中国は日本や韓国と違って地続きの国が多いので、今回の状況では日本をお隣さんとして認識していない可能性は考えられます。

韓国のお姉さんにはお隣さんと認識しててもらいたい…!笑

 

一通りクラスの爆笑が落ち着いたころ、先生も笑いながら私に「ごめんごめん、とりあえず隣接してる海の名前で書いてきて(笑)」と。

え、私だけ、海???????????

びっくりですわ。確かに今日の授業で、太平洋や大西洋、インド洋なんかの海の名前も勉強しましたけども。

 

そしてあろうことか先生は「太平洋はもちろんだけど、ほら、日本海とか!」って。
韓国人さんいるところでそれ言っていいんか…!?とヒヤヒヤしました。

※日本は「日本海」と呼んでいますが、日本海呼称問題というのが存在しまして、韓国と北朝鮮が名称の変更を求めてきている国際問題です。韓国側は「東海」北朝鮮は「朝鮮東海」と呼んでいるそうで、これらの名称への変更を要求しています。(ただ、韓国と北朝鮮で主張がかみ合っていないので、大変ですねって話です)詳しく知りたい方はご自身でググってください。

 

まぁ同じクラスの韓国人のお姉さんはとっても優しくて素敵な方だから、学校の授業中に国際問題で言い合いになったりはしないと思います。

そう願ってます。

本人が絶対読んでいないようなところで書くことでもありませんが、あの韓国人のお姉さんすごく好きなんですよね。優しい感じがあふれていて、料理上手で気配りができて、話す言語によらず穏やかな口調でとっても素敵です。
あんな大人になりたい。

 

様々なバックグラウンドを持つ人が集まる語学学校では、国の話になったときに、領土問題をはじめ国際関係上の諸問題や歴史の話になってしまって、ディスカッションがいつの間にか喧嘩みたいになるという話を聞いたことがあります。

私は今まで経験ありませんが。

センシティブな話題もあるので気を付けて話していきたいなぁと思います。

 

ということで私は、みんなが国名を書いてくる中、一人海の名前を書いていこうと思います。

悲しい。

 

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